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2016年1月29日金曜日

第55回日本クラフト展入選

 随分このブログにもご無沙汰してしまいました。

Facebookを始めたら、そちらの方に投稿する方が気楽に出来るので、ついついコチラの方に書き込むのが億劫になってしまいました。
それに、Facebookだと投稿に対しての反応が速い。
読んでいただけてる事が解るだけでなく、感想まで即座に戴けるので。

 とはいえ、Facebookに参加していない方々にもお報せしたい事がたまには在ります。
今回もその一つ。

これまでにも作品展を何回か開催して作品を発表して来ましたが、自分の意識の中でやはりどこか職人としての自分の仕事が本業で、作品発表は余技という意識があった事は否めません。
仲間内だけに発表して誉めてもらってるだけですから。

 ひとから『玉利さんて、ナニしてる人』と聴かれた時に『職人です』と胸を張って言う程の技量が在る訳でも無し、『なんちゃって作家』かなあ〜、なんて苦笑いしてました。

 去年の夏に、荒井アトリエギャラリーに伺った時に、オーナーでありジュエリーデザイナーでもある荒井さんから『ハイ、コレ!』と渡されたのが、クラフト展の応募要項でした。
 これは暗に『出しなさい』と仰ってるんだろうと思い、思い切って応募してみる事にしました。

夏から締め切りまでには随分時間があったにもかかわらず、いつもの通りグズグズと作業に入らず、ようやく10月半ばに成って、『ソロソロやらないとイカン!』とスタートしました。

 11月には外部からの仕事の受注をお休みさせてもらい、日に依って作業内容は違いますが、多い時は12時間以上飲まず食わずで机の前に座りっぱなし、という日が二日続いた事も在りました。
これが不思議な事に、疲労感が全く無いのですね〜。
やはり好きな事を楽しんでやってると、単調な作業でも疲れないんですね。

 そんなこんなで、11/18当日搬入が最終締め切りでしたが、かろうじて前日に持ち込む事が出来、安心したらどっと疲れが出て来ました。
審査結果が想像以上に速く届き、ビックリもしました。
嬉しい事に応募した三点とも入選。

明くる2016年1月8日〜17日まで、六本木ミッドタウン内デザイン・ハブにて展示されました。

 なにしろ締め切りギリギリの完成で、応募用紙に添付する三点まとめての写真を撮るのがやっとだったので、ようやく落ち着いて写真を撮る事が出来ましたのでここに掲載したいと思います。

蛇足ですが、これでようやく『新人ですがジュエリー作家です』と言えそうです。

 これからもチタンと言う素材の魅力を生かした『私にしか出来ないチタニウム・ジュエリー』にこだわって、一点でも多く後世の人に見られて恥ずかしく無い作品を創り続けて行きたいと思います。
この三点の作品は、その新たなスタートと成る作品だと思っています。

Titanium Brooch 
『マル・サンカク・シカク』
(circle,triangle,square)

全て素材はTitanium。
ブローチピンの針だけStainless-steelです。

『マル circle』 90x90x7mm   21.96g







『サンカク triangle』100x85x8mm  16.51g








『シカク square』80x80x7mm     20.43g















2015年3月26日木曜日

打ちのめされて来ました! 中村ミナト作品展


今日は近代美術館・工芸館で中村ミナトさんのジュエリー作品に打ちのめされて来ました。

 いや〜、スゴイ!スゴイ人だ!
私がジュエリーの勉強を始めた頃には既に有名になってらしたので、『宝石の四季』などの雑誌でも度々作品を拝見していました。
 また、女史のアトリエであるメイフラワー・アトリエのみなさんとお知り合いになるにつれ、お目にかかってお話しする機会も度々あったのですが、気さくで気取らない方なので、当時はそんなに緊張感もなくお話していたのです。

 しかし、こうやって今回の様にその作品をまとめて年代順に拝見すると、女史のジュエリーを通しての自己表現の可能性へのチャレンジと言ったものが見えて来ます。
 その表現のスペースを拡げて来られた軌跡が、今の日本のジュエリーの世界に大きな影響を与えているのがよく解りました。

 言わば南極海や流氷の海を氷を割って進む、『砕氷船』の様な方だったのですね。
彼女の通った跡は氷が割れて、水面が大きく広がって行くのです。
 様々な分野に彼女の様なICE BREAKERと呼ばれる方は居るのでしょうが、その苦労はいかほどか・・・。

 イヤ、きっと別に苦労じゃないんだろうな。
「ジュエリーはこうあらねば」という既成概念等、彫刻を志していた女史には縁の無いモノだったろうと思います。
 『身にまとう彫刻』とはどんなものだろう?
どうしたら自分の思い描いた立体的な空間を、身体の上と言うミニマムなスペースに転移出来るか・・・・、楽しんでやられていたとしか思えない。

 二枚目の写真の作品。
まさに、屋外に設置する女史の彫刻作品を思わせるブローチ。
三枚目の写真右ページ、ドーナツ状の円盤をひねった時に偶然現れる造形を、そのまま凍結した様なブローチ。
ワタシはこの両シリーズに、感銘を受けました。

 デザインを考えてる時に、偶然ひねった紙から思いついたのかもしれないけれど、そういう過程も含めてこういう形を見つけた時って、本当に楽しくてワクワクするだろうなあ〜と思うのです。

 もちろん、装身具としての完成度の高さがその発想をオモチャで終わらせていない、と言う事がベースに在るのですが。
 かといって、技術的にもの凄くハイレベルな事をされてる訳ではないのです。
出来たものを見れば、『な〜んだ、そう言う事か』なんだけれど、その面白さを見逃さない感性。
それだけでなく、それを完璧な作品になるまで細部をリファインして行く作業こそが、素人や凡人には真似の出来ない技と言えます。
そういう感性を錆び付かない様に日々研ぎすましつつ養い続け、常に自分にとって最新の面白いものを追い求めていく姿勢を永年続けて来られた訳です。

 こういう作品の数々を見ると、しかも20年も30年も前にあんな素晴らしい作品を創られたら、しかもそれがマッタク古さを感じさせないとしたら、じゃあコレから私はナニを創れば良いの・・・・?
 なんだかナニを創っても、彼女の影響から抜けられない様な気までして来るじゃ在りませんか。

まあ、天才を相手にひがんでも仕方ない。

凡人の私には、それでも私にしか出来ない、やらずにはいられない、私しかやらないだろう事をやるだけだ。







2015年3月8日日曜日

ピンクサファイア/ドロップCZ 花ブローチ製作工程

 前回に引き続き製作工程の紹介です。
今回はコチラのブローチ。
中心にピンクサファイアを入れた、
ドロップ型キュービックジルコニアの花のブローチ。

 まずは花びら部分から。
中心のラウンドの石枠は丸棒のセンターに穴を開けてパイプにし、爪を五つに割って造ります。
 周囲のドロップの石枠は2mmの板材を円形に切り抜き、中心に穴を開けてドーナツ状にした板の中心を凹ませて造ります。
 すり鉢状にしてから五枚の花びらを大まかに切り出し、石が座る様な穴を開けます。
 中心の石に出来るだけドロップの石が寄る様に石座のあなを拡げて行き、ラウンドの石枠と花びら部分を裏側で溶接します。
 その後はドロップの石の形に合わせて、石を載せて確認しながら余分な部分を削り落として行きます。
 裏側の溶接部分は削るに連れて小さくなるので、強度不足にならない様に、形が整う前に今一度シッカリと溶接します。
 試しに石を載せてみて高さ等確認します。
この後、表側から見える中石枠と花びらの接合部分も溶接します。
石座の大きさは、爪を溶接後に整形する事も考えて、未だ少し大きめにしてあります。

 1mmの丸線をリューターに加えて回転させながら0.6~0.65mmに成る様に削ります。
石枠の爪の位置に丸線がはまる窪みを削り、そこに丸線を載せて溶接。石座の内側の上と裏側で溶接します。

 花びらの次は葉っぱを造ります。

 デザイン画は描いてないので、頭の中のイメージを展開して平面に直した形で1mm厚の板を切り抜き、矢坊主、タガネで裏からたたき出して葉っぱの膨らみと葉脈部分の峰を造って行きます。

 とりあえず葉っぱの形に成った所で、花びら、茎、葉っぱを寄せてアロンアルファで接着し、全体のバランスを見ながら葉っぱの長さや幅、大きさ、曲がり具合、茎の長さや曲がり具合、太さを調節します。
 裏側から葉っぱを見ると、タガネでたたき出した痕がまだ残っている状態です。
 茎や葉っぱの様に膨らんだり曲がった形を修正するには、地金が加工硬化しているので一旦加熱して焼きなまさないと自在に曲げられません。
それでどうしても画像の様に表面に酸化膜が出来てしまいます。
 下の画像では茎の裏側部分を削った部分だけもとのチタンの色に成っています。
何度か修正しては仮組み立てを繰り返して最終的な形とレイアウトを決定します。

 接着材を一旦焼き飛ばし、葉っぱには丸線で腰を張って行きます。
チタン自体は硬いので、無くても変形はしないのですが、茎との接合部を大きく出来るので、溶接技術の練習も兼ねて張っています。

 思えば専門学校を卒業して入社した会社で、始めてこのように『腰を張る』と言う作業を知りました。
シルバーやプラチナなど、柔らかい貴金属でこの様なパーツを造る時には、今でも欠かせない技術だと思います。

 まずは葉っぱの裏側をリューターのカッターバーやゴムホイールなどで仕上げます。
茎に着く部分から丸線を張って行きます。
途中に補強に成る柱を造るのですが、今回は同じ1mmの丸線を差し込んで溶接しています。
この丸線で腰を張る作業、ロー付けなら隙間にロー材が流れてくれるので簡単なのですが、私の道具の様にスポットでしか溶接出来ない道具で線状にキレイな溶接をするのはなかなか難しいのです。
下の画像は丸線腰を内側から見た所。
変色している溶接部分を後でキレイに削って整えるので、しっかり中まで溶接出来ていないととれてしまいます。
 溶接が完了して本体に付ける前に仕上げた所。
溶接痕が線状に出てないと言うのが、上手く溶接出来たと言う事。

 花びら部分も爪の溶接完了後に仕上げして、茎に溶接。
その後葉っぱも溶接して行きます。
この溶接作業で折角張った丸線腰を溶かさない様に、細心の注意で溶接します。


 どうやら、今回は上手く溶接出来た様です。
全ての溶接痕を確認したら全体を仕上げて、茎の部分に打刻。

葉っぱの表面は最後にヘアライン仕上げにするので鏡面の少し手前で止めておきます。


 石留めが完了したブローチ。
途中、爪がとれたり折れたり、石が一個無くなったりとトラブル続きでしたが、幸い細かな修正溶接にも慣れて来たせいか、なんとか形に成りました。

 ブローチ金具も自製しているのですが、今回は画像を撮り忘れていました。
石留め後に最終仕上げをし、葉っぱの裏側・側面、茎の上下面は鏡面仕上げ。
葉っぱの表面、茎の側面はヘアライン仕上げとしました。

サイズ 60mmx25mmx10mm
合成ピンクサファイア・ラウンド3mmx1個, 4mmx1個
キュービックジルコニア・ドロップ3mmx5mm 5個
ブローチピンのみステンレス・バネ1mm径使用

2013年9月17日火曜日

『ケイロックス』開発者 弓狩教授にインタビュー


 最近、父のアルバムを整理している事は前にも書きました。
父親世代の様に昭和一桁の世代は、戦中に生まれ軍国教育を受けて育ち、兵役はぎりぎり免れたけれど、戦後は焼け野原で食糧難に喘ぎながら勉学に勤しみ、後の高度成長時代には家族を顧みず働いて国家の礎を作って来ました。
そういう父親達の普通の人生を記録しておくって、意義が在る事と思う様に成りました。
これまで父親の話は何度かに分けて聴いてきたので、今度は違う人の話も聴いてみたくなって、まずは知り合いから聴かせていただく事にしました。

 そこで、日曜日は大船にある弓狩康三氏のお宅を訪問し、お話を伺って来ました。
弓狩氏は奥様が母と女学校時代からの友人で、私達家族は子供の時からのお付き合いになります。
長く医学の世界にいらっしゃるので、私達家族の健康相談にも乗ってもらっている方なんです。

 弓狩康三氏は岡山県津山市に生まれ、戦後は阪大医学部からアメリカ留学をへて、帰国後は阪大医学部教授を経て民間食品会社、製薬会社の要職を歴任された方で、今は『ケイロンジャパン』(リンクします)の取締役に就かれて、様々な医療用品の開発をされたり、腎臓に問題を抱える方々向けの健康補助食品『ケイロックス』(リンクします)を開発され、その普及を図ってらっしゃいます。
健康に問題を抱える人達が、いかに生活の質(QOL)を高めてより良い人生を送れるように出来るか、ということに尽力されてらっしゃるのです。

 この『ケイロックス』、腎臓に問題を抱える方にはなかなか有効なものらしく、ようやく医学会でも定評を得て来たモノだそうです。
食物繊維を多量に含んでるから便秘にも良いそうです。
御興味がある方、ご家族知人に腎臓に問題を抱えた方がいらっしゃる方はリンク先を覗いてみて下さい。


 今回は津山市で生まれてから旧制高校時代までの話を、ざっと伺ってビデオに録画しました。
次回は阪大医学部時代の話を伺うつもりなんですが、アメリカ留学時代の話等武勇伝が聴けそうで楽しみです。



2013年8月11日日曜日

オーダーメイドのチタニウム・ブローチが完成しました。

 お客様から頼まれていたブローチが完成しました。
例に依って、ブローチの針がステンレスなのを除いて、すべてチタニウムで製作。
正方形のデザインです。
今回もご依頼のお客様の個性に合わせて、デザインとしてはシンプルだけど、ヘアライン仕上げした緩やかな曲面で優しさを表現するだけでなく、鏡面仕上げの部分でチタニウムの硬質で重厚な質感を残し、仕上げのコントラストでキリッとした表情を残しました。

大きさは 65x65mmで厚みが約5mm

チタンは軽いのが特徴なのですが、今回重さを量るの忘れてしまいました!
今回は結構谷間に成る部分が深いので大変でした。大きなタガネで硬いチタンの板をガンガン叩いて整形。
おかげで裏側はこんなに凸凹です。
 凸凹になった裏側をリューターで整形して綺麗にして行きます。
 ガリガリ削った後は鏡面に成るまで磨きます。
 だいぶ綺麗になって来ましたが、もう一息。
磨き上げると黒光りしている様に見えます。
裏が磨けたら表も整形します。
表面の緩やかなふくらみと谷間をヤスリで整えていきます。
 表面に成る部分が出来たら、腰に成る部分を作って行きます。
要所要所にスペーサーをはさんで、高さ(厚みに成る部分)を作ります。
裏側に取り付けたブローチ金具が出っ張らないだけの高さを確保しないといけないのです。
 本体が出来たら、ブローチ金具を制作します。
今回のブローチは天地を自在に装着出来る様に金具はダブルピンにします。
 先に書いた様に針の部分のみステンレス・バネ材を使用します。
ヒンジの部分は、本体に装着したら外側からは軸を差し込めないので、二分割して中央から外側に向けて差し込む様になっています。
ヒンジ、キャッチともに本体裏側のカーブに合わせて隙間無く密着させなければならないので、作るのと同じくらい調整に時間がかかります。

 本体部分の裏側を全て仕上げ直してからブローチ金具を取り付けます。
ブローチピンは装着する時操作しやすい様に、針を持ち上げた時には90度以上は上がらない様にしてあります。
 逆に針を降ろしたときはこの程度で止まる様になっています。
この先は針のバネ性でキャッチに入れるのです。
このように調整しておくと、ピンを外すときも二本の針を指先で中央に寄せる動作だけで自然に針が飛び上がってキャッチから外れてくれます。
ダブルピンにするときは、こういう風にセッティングしておかないとブローチのつけ外しに手間取ってしまいます。

 針をキャッチに納めてしまうと、裏はフラットな状態になります。
この段階で浮き上がってると、装着した時に洋服との間に隙間が出来、場合に依ってはブローチがその重みで下を向いてしまい、なんだか格好悪いと思うのです。
やはり洋服にピッタリとフィットしていないと、という思いがあります。
最後に全体の仕上げをチェックして作業は終了です。

 ここまで結構時間はかかりましたが、ようやく完成。
まだまだ克服しなければ成らない技術的課題は沢山残っていますが、お客様にも気に入っていただけた様なので、一歩前進です。