彼は2004~2005年の一年間ワタシの生徒でした。
彼が修了したコースは社会人対象のコースで、特別集中一年コース(略称CC-1)というものです。
高卒の生徒が対象の全日制の専門課程にはデザインの授業等もあり、修了まで最低でも二年かかるのですが、社会人でそこまで時間は割けないけれど、制作技術の基礎を学びたいと言う人向けのコースです。
皆さん社会人経験をお持ちの方が多く、ご自分で学費を貯めて来られていて中にはジュエリー業界で制作職に就きたいと言う方も多いのです。
同様にデザインだけのコースもあって、CC-1受講者のなかには両方受講する生徒さんも多かったですね。
今ワタシは担当していないので、現状がどうなのか詳しく知りませんが、このCC-1コースはまったくヤスリも糸鋸もバーナーも使った事が無い生徒が、一年後にはプラチナを使ってサイドメレーリングを作る、というものです。
昼間のクラスもあるのですが、彼のいたクラスは夜6:30~9:30の授業が週5日。
平日、そして時には土曜も毎晩仕事を終えてから疲れた身体で登校してくるのです。
課題の提出期限は決まっているし、当時は年二回の講評会もあって、作品が完成していなければ出席も出来ない、モチロン全ての課題を完成させて提出されていなければ修了は出来ないだけでなく、講師が認めない限り提出しても再提出となり採点もされないという厳しいものでした。
ワタシもまだ若かったし、学校を出たら即ジュエリー業界で働く彼らに仕事の厳しさを解って貰いたいと言う気持ちも強く、課題に対しては
『ダメなものはダメ!』と、
かなり厳しかったと思います。
今思えば『皆良く付いて来てくれたな〜。』と思います。
そんな頃の昔話についつい花が咲いて盛り上がってしまいました。
教室に居た生徒さんにはチョット迷惑かけてしまったかもしれません。
自分のブランドを立ち上げて頑張ってる者もいて、彼らの活躍はワタシにも活を入れてくれます。
そんな彼も、今では結婚して今年は女の子が生まれたそうです。
そう聞くと、こっちは歳取ったな〜と思うのに、彼はまだ28歳!
理不尽だけど
『ずるい〜!』
と思ってしまうのは何故でしょう。
今日はこれからパーティーだと言う彼に
『会場は?』と訪ねると、
『吉祥寺。』との答え。
彼の家からは学校とまるで正反対の方向なので
『何か他の用事が在ったの?』
と訊くと、
『先生に会いに来たんじゃんか〜!』
と、泣かせる事を言ってくれるじゃないですか。
学生時代には鳶の仕事をやっていて、仕事着のダブダブズボンで教室に通っていた彼は、嬉しそうに生まれたばかりの子供を抱く奥様の写真を見せてくれました。
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