まっすぐに下がらないで少し傾いています。
色々原因を探ると、どうやらアンカー部分の位置の1mm以下の誤差が原因でした。
通常のチェーンなら問題無いのでしょうが、使用しているステンレスワイヤーにはテンションがあるので、長さが微妙に異なるとそのテンションの為にワイヤーが本体から出て来る位置がズレてしまうのですね。
仕方ないので、急遽腰の部分に補助のステーをくわえて溶接し、ワイヤーの動きを規制する事にして解決しました。
最後に表面のヘアライン仕上げを施して全体を磨き直します。
と言う訳でロング・ペンダントがようやく完成。
石座中央の爪位置が左右でズレているのは、石のカットが左右微妙にずれているせいで、それに爪位置を合わせた為です。
PtやSilver等の貴金属と違いチタンの爪は固くて曲がりにくく、石の凸凹した形状に合わせて変形もしにくいのでカットされた石の平面の部分に爪がかかるようにしないと、爪を倒している最中に石のカットの峰の部分に無理な力がかかって、ヒビが入ったり割れたりする怖れがあるからです。
今回の爪も1.2mmの丸線から削りだしたもので、幅は削って細くしましたが厚みはあるので、石留め前に曲げる部分のみ焼き鈍しして曲げやすくしてから留めています。
腰板に補助ステーを付けた、裏側のアンカーとネックレス接合部分。
先程ようやく作品を受け取られたお客様と電話でお話しして、『作品自体は色味も無いしキラキラ光りもしないし意外と地味なので、お手持ちのスカーフやパールのロングネックレス等と一緒に着けられたら、それらを引き立てる役になるから色々遊んでみて下さい』とお話ししたら『楽しみです!』と喜んで下さいました。
今回の作品はデザインも直ぐに浮かんだし、イメージ通りに形に出来た方なので自分では珍しく気に入ってます。
モチロン裏の処理や鏡面仕上げ等課題はまだまだ山積みですが、溶接技術も確実に向上しているのを実感しました。
今後も技術の向上に精進したいと思います。