前回に引き続き製作工程の紹介です。
今回はコチラのブローチ。
中心にピンクサファイアを入れた、
ドロップ型キュービックジルコニアの花のブローチ。
まずは花びら部分から。
中心のラウンドの石枠は丸棒のセンターに穴を開けてパイプにし、爪を五つに割って造ります。
周囲のドロップの石枠は2mmの板材を円形に切り抜き、中心に穴を開けてドーナツ状にした板の中心を凹ませて造ります。
すり鉢状にしてから五枚の花びらを大まかに切り出し、石が座る様な穴を開けます。
中心の石に出来るだけドロップの石が寄る様に石座のあなを拡げて行き、ラウンドの石枠と花びら部分を裏側で溶接します。
その後はドロップの石の形に合わせて、石を載せて確認しながら余分な部分を削り落として行きます。
裏側の溶接部分は削るに連れて小さくなるので、強度不足にならない様に、形が整う前に今一度シッカリと溶接します。試しに石を載せてみて高さ等確認します。
この後、表側から見える中石枠と花びらの接合部分も溶接します。
石座の大きさは、爪を溶接後に整形する事も考えて、未だ少し大きめにしてあります。
1mmの丸線をリューターに加えて回転させながら0.6~0.65mmに成る様に削ります。
石枠の爪の位置に丸線がはまる窪みを削り、そこに丸線を載せて溶接。石座の内側の上と裏側で溶接します。
花びらの次は葉っぱを造ります。
デザイン画は描いてないので、頭の中のイメージを展開して平面に直した形で1mm厚の板を切り抜き、矢坊主、タガネで裏からたたき出して葉っぱの膨らみと葉脈部分の峰を造って行きます。
とりあえず葉っぱの形に成った所で、花びら、茎、葉っぱを寄せてアロンアルファで接着し、全体のバランスを見ながら葉っぱの長さや幅、大きさ、曲がり具合、茎の長さや曲がり具合、太さを調節します。
裏側から葉っぱを見ると、タガネでたたき出した痕がまだ残っている状態です。
茎や葉っぱの様に膨らんだり曲がった形を修正するには、地金が加工硬化しているので一旦加熱して焼きなまさないと自在に曲げられません。
それでどうしても画像の様に表面に酸化膜が出来てしまいます。
下の画像では茎の裏側部分を削った部分だけもとのチタンの色に成っています。
何度か修正しては仮組み立てを繰り返して最終的な形とレイアウトを決定します。
接着材を一旦焼き飛ばし、葉っぱには丸線で腰を張って行きます。
チタン自体は硬いので、無くても変形はしないのですが、茎との接合部を大きく出来るので、溶接技術の練習も兼ねて張っています。
思えば専門学校を卒業して入社した会社で、始めてこのように『腰を張る』と言う作業を知りました。
シルバーやプラチナなど、柔らかい貴金属でこの様なパーツを造る時には、今でも欠かせない技術だと思います。
まずは葉っぱの裏側をリューターのカッターバーやゴムホイールなどで仕上げます。
茎に着く部分から丸線を張って行きます。
途中に補強に成る柱を造るのですが、今回は同じ1mmの丸線を差し込んで溶接しています。
この丸線で腰を張る作業、ロー付けなら隙間にロー材が流れてくれるので簡単なのですが、私の道具の様にスポットでしか溶接出来ない道具で線状にキレイな溶接をするのはなかなか難しいのです。下の画像は丸線腰を内側から見た所。
変色している溶接部分を後でキレイに削って整えるので、しっかり中まで溶接出来ていないととれてしまいます。
溶接が完了して本体に付ける前に仕上げた所。
溶接痕が線状に出てないと言うのが、上手く溶接出来たと言う事。
花びら部分も爪の溶接完了後に仕上げして、茎に溶接。
その後葉っぱも溶接して行きます。
この溶接作業で折角張った丸線腰を溶かさない様に、細心の注意で溶接します。
どうやら、今回は上手く溶接出来た様です。
全ての溶接痕を確認したら全体を仕上げて、茎の部分に打刻。
葉っぱの表面は最後にヘアライン仕上げにするので鏡面の少し手前で止めておきます。
石留めが完了したブローチ。
途中、爪がとれたり折れたり、石が一個無くなったりとトラブル続きでしたが、幸い細かな修正溶接にも慣れて来たせいか、なんとか形に成りました。
ブローチ金具も自製しているのですが、今回は画像を撮り忘れていました。
石留め後に最終仕上げをし、葉っぱの裏側・側面、茎の上下面は鏡面仕上げ。
葉っぱの表面、茎の側面はヘアライン仕上げとしました。
サイズ 60mmx25mmx10mm
合成ピンクサファイア・ラウンド3mmx1個, 4mmx1個
キュービックジルコニア・ドロップ3mmx5mm 5個
ブローチピンのみステンレス・バネ1mm径使用
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