2015年3月4日水曜日

『正方形透かしブローチ』製作工程

今日は先日の作品展に出品したブローチの製作工程を紹介したいと思います。
この作品はDMに使用した円形のハートを透かしたブローチと同じシリーズで、今後も様々な形態で発展させて行きたいと思っています。

まずは外枠と成るフレーム部分の製作。
1.5mm厚のチタン板を切り抜き、中心から四隅に向かってタガネで凹ませ、四辺をフラットになる様に最初は木台の上でハンマーで整形して行きます。下の画像は裏側から見た所。
コチラを鏡面に仕上げるので、ハンマーの後が極端に残らない様に微妙な反りは平らな木片に載せて叩きます。
金床に載せて金槌で叩くと、地金がかなり締まってしまい、後で磨く時にソコだけ残ってしまい、凹凸に成ってしまうのです。
ゆがみが取り切れたらヤスリで整形して鎚目を取り除きます。

 次はフレームに入れる透かし部分の板を加工。
この部分は1mm厚。
中心部分が少し凹んだ形になるように木台の上で金槌の膨らんだ面で叩いて緩やかな曲面にします。
四辺は直線に成る様にしておかないと後でフレームに溶接出来ないので叩いては修正しながら形を整えます。
形が整ったら、だいたいの位置に正方形の製図用テンプレートを当てて、大きな正方形からケガいて行きます。
大きな正方形をケガいて、そこを糸鋸で切り取ったら、次は中ぐらいの大きさの正方形をレイアウト、最後に小さい正方形をレイアウト、と言う順番に面を透かして行きます。
辺からはみ出す正方形は、最初のうち辺を切り取ってしまわないで残しておきます。
こうするといちいちフレームにはめてみなくても、何処にレイアウトすればいいか確認しやすいのです。
 この作業で糸鋸の刃が2ダースは折れたでしょうか。
只切り取るだけでなく、かたちを調整するのに刃の片側だけでけずったりしてるとどんどん切れなくなって来て、最後には擦り切れる感じで折れてしまうのです。
 糸鋸作業でバリが出た所やノコ目が目立つ所等は出来るだけ精密ヤスリで目を整えます。
透かし作業が終わったらはみ出した部分に残っていた辺も切り取り、フレームにきちんと納まる事を確認してから表面になるほうを仕上げます。
 さらにフレーム部分の裏面も一旦鏡面になる一歩手前まで仕上げます。
 フレームの内側の縁から一段下がった所に透かし面の縁が来る様に嵌めて裏で接触箇所を溶接して行きます。
 下の画像は溶接作業が終わった裏面です。
 次は一番上に載る正方形プレートのレイアウト。
適当な大きさに切り出した正方形を、全体のバランスを見ながら大きさや向きを調整しながら置いて行きます。
 大まかにレイアウトが決まったらプレートの裏側から固定用の脚を立てる位置をマーキングし、1mmの丸線を3~4本溶接して行きます。
 下の画像は全てのプレートに脚を立て終わり、裏側で溶接する前です。一度に全ての脚を溶接してしまうとプレートの表面の角度が変えられないので、まずは一本溶接して全てのプレートの脚が一本ずつ溶接出来た所で最終的なプレート面の角度を調節し、最後に全ての脚を溶接します。


 しかし、プレートの溶接の前にやる事があります。
メレー枠の位置決めと溶接です。
 スチールの丸棒を加工して2mmの円形に紙を切り抜けるパンチを造っておき、それで石枠のパイプの直径に抜いたシールを透かしの板に貼って行きます。
下の画像で白い丸に見えるのが貼られたシール。
これで位置決めをしたらソコにまずは細いドリルで穴をあけ、徐々に石枠がはまる大きさまで拡げて行きます。
 下の画像がメレー枠を溶接し終わった後。
石を載せてみて角度が間違っていないか、石はきちんと所定の高さに留められそうか確認します。
 いよいよ正方形プレートを先に書いた段取りで溶接して行きます。
下の画像が全ての溶接が終了した後。
フレーム部分と透かし部分の溶接、メレー枠の溶接痕も、この段階に一気に仕上げます。
 裏側が仕上がったら腰を張る作業に入り、その後ブローチ金具の製作、溶接と続くのですが、残念ながらその部分写真を撮り忘れてました。

 下の画像は金具の脚が溶接されて、ステンレスバネ線のブローチピンが装着される前の状態。
左上の面と面の境目の尾根の部分に凹みを発見。どうやら、溶接する時に電極を取り付けた所でスパークし、地金が飛んだ様です。この部分にチタン材を溶接して肉盛りして仕上げ直しました。
最後はフレームの表面のへアライン仕上げで完成です。

こちらが完成写真になります。
大きさは80mmx80mmx7mm       重量 38.71g
使用した石はキュービックジルコニアのスクエアカット。




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