2013年8月11日日曜日

オーダーメイドのチタニウム・ブローチが完成しました。

 お客様から頼まれていたブローチが完成しました。
例に依って、ブローチの針がステンレスなのを除いて、すべてチタニウムで製作。
正方形のデザインです。
今回もご依頼のお客様の個性に合わせて、デザインとしてはシンプルだけど、ヘアライン仕上げした緩やかな曲面で優しさを表現するだけでなく、鏡面仕上げの部分でチタニウムの硬質で重厚な質感を残し、仕上げのコントラストでキリッとした表情を残しました。

大きさは 65x65mmで厚みが約5mm

チタンは軽いのが特徴なのですが、今回重さを量るの忘れてしまいました!
今回は結構谷間に成る部分が深いので大変でした。大きなタガネで硬いチタンの板をガンガン叩いて整形。
おかげで裏側はこんなに凸凹です。
 凸凹になった裏側をリューターで整形して綺麗にして行きます。
 ガリガリ削った後は鏡面に成るまで磨きます。
 だいぶ綺麗になって来ましたが、もう一息。
磨き上げると黒光りしている様に見えます。
裏が磨けたら表も整形します。
表面の緩やかなふくらみと谷間をヤスリで整えていきます。
 表面に成る部分が出来たら、腰に成る部分を作って行きます。
要所要所にスペーサーをはさんで、高さ(厚みに成る部分)を作ります。
裏側に取り付けたブローチ金具が出っ張らないだけの高さを確保しないといけないのです。
 本体が出来たら、ブローチ金具を制作します。
今回のブローチは天地を自在に装着出来る様に金具はダブルピンにします。
 先に書いた様に針の部分のみステンレス・バネ材を使用します。
ヒンジの部分は、本体に装着したら外側からは軸を差し込めないので、二分割して中央から外側に向けて差し込む様になっています。
ヒンジ、キャッチともに本体裏側のカーブに合わせて隙間無く密着させなければならないので、作るのと同じくらい調整に時間がかかります。

 本体部分の裏側を全て仕上げ直してからブローチ金具を取り付けます。
ブローチピンは装着する時操作しやすい様に、針を持ち上げた時には90度以上は上がらない様にしてあります。
 逆に針を降ろしたときはこの程度で止まる様になっています。
この先は針のバネ性でキャッチに入れるのです。
このように調整しておくと、ピンを外すときも二本の針を指先で中央に寄せる動作だけで自然に針が飛び上がってキャッチから外れてくれます。
ダブルピンにするときは、こういう風にセッティングしておかないとブローチのつけ外しに手間取ってしまいます。

 針をキャッチに納めてしまうと、裏はフラットな状態になります。
この段階で浮き上がってると、装着した時に洋服との間に隙間が出来、場合に依ってはブローチがその重みで下を向いてしまい、なんだか格好悪いと思うのです。
やはり洋服にピッタリとフィットしていないと、という思いがあります。
最後に全体の仕上げをチェックして作業は終了です。

 ここまで結構時間はかかりましたが、ようやく完成。
まだまだ克服しなければ成らない技術的課題は沢山残っていますが、お客様にも気に入っていただけた様なので、一歩前進です。




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