2011年7月18日月曜日

映画『コクリコ坂から』

昨夜、近所のシネマコンプレックスで観て来ました。


 1963年の横浜が舞台、高校生の主人公の恋を描いた映画、と言うだけしか予備知識を持たずに出かけたので、最初は主人公の状況がよく判りませんでしたが、徐々に飲み込めて来ました。


 当時高校生と言う事は、今いわゆる団塊の世代と呼ばれている先輩達になります。
ワタシは当時まだ幼稚園児だったので実体験はありませんが、東京オリンピック前の当時は、まだ旧制高校時代の蛮カラな気風が残っていた様ですね。
男と女は今より明確に棲み分けられていた様です。
男は男同士で集まり、女はその世界を侵さない、という暗黙の了解があったのかもしれませんね。
『女だてらに』という言葉がまだ生きて居た時代かもしれません。


 でも、映画に出て来る高校生とは言え『男ども』は、なかなか気骨があって頼もしい。
彼らが部室に使っている古い建物を学校側が取り壊す、と言うのに反対運動を起こすのですが、そこにながれるのは、大人達が造った体制への反発と学生自治の気風。
そして生徒同士意見は対立していても、体制側である学校サイドには一致団結して、学生自治を侵させまいとする様がなんとも清々しいのです。
 結局、主人公の提案で汚かったその建物を大掃除して奇麗に蘇らせる事になるのですが、そこでは女生徒達が大活躍。
普段は理想や理論を語り談論風発の彼ら男共も、整理整頓や掃除となると彼女達にかなわず、まるで男どもは子供な訳です。
このへんは今も変わらないかな〜。
でも、そんな男共を見ながら彼女達もなんだか楽しそうなのが見ていて微笑ましい。


 オリンピック直前、日本が一番元気だった時代。
でも先の大戦や、戦後すぐに起きた朝鮮戦争といった戦乱が、まだまだ深く傷跡を残していた時代。
まだインターネットも携帯電話も無かった時代の高校生達の恋愛は、蒸し暑い夏の夜に夏の早朝の凛とした涼しさを想い起こさせてくれました。


 主人公達の恋愛模様も含めて、現代の若者達よりワタシより年上で当時の「時代の空気」を知る方々のほうが、昔を思い出して胸が熱く成るのではないでしょうか。


感動で涙にむせぶ、という大作ではありませんが、お薦めの映画です。

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