2011年8月8日月曜日

出逢って良かった・・・

『出逢って良かった』
というのはいろんな分野で皆さんそれぞれお持ちでしょうね。
今回はマンガについて。


 子供の頃から30代半ば迄いろんなマンガ、劇画のたぐいを読んできましたが、面白かった作品やお薦めの作品はあってもその中で『出逢って良かった!』と言える程の作品と言うのはそうそうありません。
まず、常識的にこれは絶対外せないのはやはり巨匠・手塚治虫
『火の鳥』シリーズ。
輪廻転生、因果応報をテーマに、時の流れを飛び越えた壮大なストーリーと、精緻で時として斬新でダイナミックな画面構成。
時折読み返してみても毎回新しい感動を与えてくれるのは流石です。


『ゴルゴ13』
 言わずと知れた長寿作品。
東西冷戦時代から現在迄、ターゲットの選定とその理由をとおして、現実社会がどのようなバランスで保たれているのかを教えてくれました。
又、ニュースで取り上げられる事件や出来事には、表向きの話だけではなく公にされない裏があるかもしれない、という目も養えました。
それにしても、いつもキリッと刈り上げられた彼の頭髪。一体どうしてるんでしょうか。
床屋は決まってるのかなあ。
年齢からして白髪があっても不思議ではないし、染めてるのでしょうか?
その最中も、懐にはS&Wが・・・。
やはり謎の多い男です。


 それにしても、ここまで長寿だと、いったいどうやって終わりにするのか興味深いシリーズです。



『博多ッ子純情』長谷川法世


70年代の博多を舞台に中学生から大学生迄、男として成長して行く主人公を軸に、友情・恋愛・親子の情を描いた作品。
 博多といえば祇園山笠という祭りが有名ですが、それを初めて知ったのもこの作品。
なにもかも忘れて夢中になれる祭りがある、そんな故郷を持ってるって羨ましいなあ、と思ったものです。
主人公の恋愛もストーリー大きな軸になってるのですが、携帯はおろかポケベルも無かった時代には、恋愛と言うのは時間をかけて育むものだった、と言うのが解ります。


筆に墨で描かれた味のある絵も魅力ですが、主人公が悩みながらも”男”として自分の道を見つけて成長して行く様、それを見守る周囲の暖かい視線。父と子の葛藤。
名作だと思います。


 果たして女性に理解されるかどうか解りませんが、男心を知りたい女性には参考に成るかもしれません。
再販されて文庫本で出てるみたいですね。

『首斬り朝』小池一夫・小島剛夕
このコンビは『子連れ狼』で有名です。
なにより画力がスゴイ!


 舞台は江戸時代で主人公は浪人なんですが、代々「お試し役」といって、簡単に言うと刀の切れ味を試す仕事をしています。
只の刀だけでなく御公儀から将軍の刀の切れ味の鑑定も依頼されるのです。
刀の切れ味を見極めるこの技術は試刀術というのですが、藁束や竹を斬ったその最後はなんと人間を斬って試すのです。
 斬首刑となった犯罪者の首を斬り落とす役目を引き受けたり、斬首刑後の胴体を重ね斬りしたりして依頼主から預かった刀の斬れ味を試す、という壮絶な仕事。
 絞首刑すら賛否両論の今の日本では考えられない、そんな仕事があった事にも驚きましたが、なんと明治になっても暫くは後代の山田浅右衛門によって残首刑は執行されていたと言うのを知って二度ビックリしたものです。
更に、後に自分で調べて知った恐るべき山田家の副業にはもっと驚かされましたが・・・・。

 主人公の技量についてはまあフィクションの部分もあるかもしれませんが、彼の生き様には心打たれる物がありました。
 斬る相手が罪人とは言え、日々人の生死の境に立ちその命を冥土に送り届けている彼が、主君を持たない浪人であるが故に自らを厳しく律してとして生きようとするその精神、見習いたいものです。
 ただ、後半になるとストーリーに詰まってしまったのか主人公も変わってしまう感があり、あまり有名な作品では無い様ですね。
古本屋で探すしかないかも知れません。


 後半の二つ。まさに『人は、人として生まれてくるのではなく、人に成るのだ』という言葉を想い起こさせる作品だと思います。
接する機会があれば是非お薦めします。



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