2011年8月10日水曜日

『さよならの夏』

 先日観に行った映画『コクリコ坂から』CMがまだTVで流れていて、その耳に心地いい主題歌がなんとなく気になって調べてみました。
映画を見る時は歌詞をあまり気にせずにいたので、いったいなんて歌っているのか知りたく成ったのです。
 最近の歌にしては歌詞にどことなく古風な匂いがして、歌っている手島葵さんの声の質感も相まってなんだか品が良い歌だなあと思っていました。
不勉強で知らなかったのですが、1976年に森山良子さんが歌った歌で横浜を舞台にしたTVドラマにも使われていた事が判明。


 35年も前の歌だった事にも驚きましたが、歌い手が違うだけでこんなにも印象が違うと言う事にも驚きました。
それにしても素敵な歌詞ですね。

『さよならの夏』
作詞 : 万里村ゆき子
作曲 : 坂田晃一

光る海に かすむ船は
さよならの汽笛 のこします
ゆるい坂を おりてゆけば
夏色の風に あえるかしら
わたしの愛 それはメロディー
たかく ひくく 歌うの
わたしの愛 それはカモメ
たかく ひくく 飛ぶの
夕陽のなか 呼んでみたら
やさしいあなたに 逢えるかしら

だれかが弾く ピアノの音
海鳴りみたいに きこえます
おそい午後を 往き交うひと
夏色の夢を はこぶかしら
わたしの愛 それはダイアリー
日々のページ つづるの
わたしの愛 それは小舟
空の海をゆくの
夕陽のなか 降り返れば
あなたはわたしを 探すかしら

散歩道に ゆれる木々は
さよならの影を おとします
古いチャペル 風見の鶏(とり)
夏色の街は みえるかしら
きのうの愛 それは涙
やがて かわき 消えるの
あしたの愛 それはルフラン
おわりのない言葉
夕陽のなか めぐり逢えば
あなたはわたしを 抱くかしら

 森山良子さんのノビのある艶やかな声で聴くと、夏の日差しにきらめく海を丘の上から見下ろしている感じです。TVドラマの主題歌にはピッタリだし、なんだか大人の恋愛を予感させます。
 そして、今回の手島葵さんのちょっとかすれた様な穏やかな声で聴くと、火灯し頃の夕暮れの街の背景に夕映えを写した海が見えてなんだかノスタルジック。
制作サイドのキャスティングが今回は上手くはまったみたいです。

 作詞の万里村さんは当時おいくつくらいだったのか解りませんが、きっとその年齢でしか書けない歌詞だったのでしょうね。
今回の映画化に際して(二番の?)歌詞をワンコーラス書き足したそうですが、35年も経って自分の歌がまた脚光を浴びると言うのは、当時を思い出して懐かしくもあり、嬉しい様な恥ずかしい様な不思議な気分ではないでしょうか。

宮崎駿さんはこの歌について
「人を恋する歌」と表現し、「繰り返し繰り返し、人は人を愛する。その初々しい気持ちが大切だと思う」
と話してらしたそうですが、初々しい恋心と言うのは歌詞にもあるとおり、さざ波にも揺れる小舟の様なものでしたね〜。。
時代を越えて今の若者も人を恋する気持ちと言うのは変わらない、と思いたいですね。




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