2010年10月17日日曜日

客注品です。

 このブログでも何度か取り上げていますが、現在二子玉川カフェ・フーケのサロンで講座を担当していますが、このお店は以前も話したように十年以上のお付き合いです。
当然ワタシ同様の常連さんが沢山存在します。


 それぞれ、カウンターの決めた席に座る事が多いのですが、皆さん大人なので何度かお見かけして隣り合わせになったとしても、みだりに話しかけないのが暗黙のルールの様になってます。
カウンターのスタッフと話していて、スタッフの取り持ちで話に加えて戴く事はあるのですが、そんなことが何度か重ならないと自己紹介にまで至る事はなかなかありません。
やはり一人で来ている常連さんというのは一人の時間、仕事から離れてオフタイムを過ごしに来られている方が多い訳ですから。


 今回その中のお一人、N様からご注文をいただきました。
何度かお目にかかってお話した事はあったのでお顔は憶えていても、お名前はモチロンお互いの仕事の話等した事が無い方でした。
 たまたま店内に置いていたワタシのサロンの宣伝チラシをご覧になって、わたしの経歴等をお知りに成ったようで、サロンで講習をしているのもご覧になった上でご注文を戴きました。


 N様は葉山に別荘をお持ちなのですが、お庭に仲良くしている鳶(とんび・鳥ですよ)がいるそうです。
そんな訳で、講習会場に置いてあったワタシの作品カタログでみた雪ダルマシリーズのこの作品↓
が気に入られた様で、鳶をデザインに取り入れてチタンのピンを創る事になりました。
しかもお友達に差し上げたいので5というご注文。


 鳶なんて普段見た事もないので、このサイズに納まって、鳶に見えて、しかも精悍なだけでなくカワイイ、というのはなかなか大変でした。


 鳶のみWAXで立体に作ってシルバーに鋳造してしまえば良いのかもしれませんが、WAXで小さな鳶を削りだすのも苦手なのでチタンの板から削りだして作るため、モチーフをレリーフ化しないといけないのも難易度を上げてくれました。
 こんな具象モチーフを作る仕事は今迄あまりやって来なかったので、まずは図鑑やインターネットで写真や動画を集める事から始めて、まずはラフスケッチ。
それを実際のサイズで真鍮板に写して、ヤスリでディテールを削りながらどう作って行くか検討します。
慣れない鉛筆で絵を描くより、ヤスリと糸鋸で形を作って行く方がワタシには楽なんですよねえ。
なにぶん小さいのとそんなに工賃をかけられないのとで、最小の工程で鳶の特徴を出さなければならないのが難しいのです。
こんなときは自分のデッサン力・造形力の貧弱さに落ち込みます。


 それでも、単純でシンプルなものから徐々にディテールを作り込んでいって、とりあえずサンプルを5点作ってお見せしたところ、最初の2点はあまりにシンプル過ぎて他のと差がつきすぎてしまうので、丁度差し上げたいお友達にトランペットを演奏される方がいらっしゃるので付けられないだろうか・・・双眼鏡が付いたのも欲しい、というご要望。

・・と言う訳で追加加工を施して完成したのがこの五点。
最後の一点は特に気に入られた様でご自分用にもう一点追加注文してくださいました。

そうそう、鳶の彼の名前は『じろう君』です。



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