2010年7月26日月曜日

『となりのトトロ』

先日テレビで放映されたので、恥ずかしながら初めて見ました。


1988年公開だから当時は仕事も独立したばかりで忙しく、子供向けのアニメには全く興味が無かったし、トトロのキャラクターデザイン自体大人を拒絶している様に思えたので・・・・。


 映画はどうやら昭和三十年代、バスガールが乗ったボンネットバスが走り、まだテレビが普及していなかった頃の東京近郊の村が舞台の様です。
丘陵地帯に谷戸が点在し、小川が流れていたり鎮守の森があったりする自然豊かな風景というのは、幸いな事にかろうじてワタシの脳裏にも記憶があります。


 小四の時(昭和四十年代)初めて父の実家の鹿児島に帰省したのですが、その村の光景に共通するモノがありました。
モチロンその頃には実家にもテレビは在りましたが、手回し式の電話機とか、庭に在る井戸(実家は両端にバケツが付いた釣瓶式で、スイカを冷やしてました)、薪で沸かす五右衛門風呂とかまだ残ってましたね。
 おまけに便所が母屋の外にあり、もちろん汲取で昼間は虫が飛んで入って来るし、夜は裸電球の周りに蛾が飛び回って、怖くて困ったのを思い出しました。


 そのころ自分たちが住んでいた西宮は、既に畑が少しずつ宅地化されて行く過渡期だったのでしょうが、それでもまだ所々に畑の中を水のキレイな小川が流れたりしていました。メダカやザリガニなんか捕った記憶が残ってます。


 映画では母親が結核で入院していて、長女が歳の離れた妹と父親の面倒を見なければ、と張り切ってる様子が描かれてるのですが、しっかりしていてもやはり子供だから精一杯背伸びしているのが見て取れて健気ですね。
ワタシも長男で弟がいるので、小学生の頃弟を従えてよく二人で近所を探検したのを思い出しました。
大人からみると他愛の無い事も、子供にとっては意を決した冒険だったりするんですよね。
 

 ジブリの映画は、『ナウシカ』や『もののけ姫』のように自然破壊や環境問題等、壮大なテーマを扱っていて登場人物やバックグラウンドの解説が必要な作品より、この作品の様に単純な話の作品の方がワタシは楽しめますね。
 今回の『トトロ』も肩の力を抜いて楽しめましたが、『紅の豚』『魔女の宅急便』『ラピュタ』等がワタシにはエンターテインメントとして面白かった。
 多分、子供だった時や思春期だった頃に体験して来た事や、当時読んだ子供向け冒険小説に重なったりするから共感しやすいのかもしれませんね。



 それにしても、あの姉妹はなんで怖く無いのでしょう?
妖怪ではなく”物の怪”は人に危害を加えないと、子供には解るのでしょうか?
部屋の戸を開けてなんだか黒いモノがザ〜ッと音を立ててうごめいたりしていたら、怖くて暮らせないでしょうに。
暫し固まってしまってから入り口で大声で怒鳴って入って行く気持ちがよく解ります。


 でも、雨が降る夕暮れのバス停で、傘ごしに毛むくじゃらの胴体に長い爪・・なんて見えたら、悲鳴上げて逃げそうなものを・・・・。





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