久しぶりに聴いて、その素晴らしい歌声にまた映画を見たくなり、夕食後に我が家所蔵のDVDで見直しました。
今の若い方々は『ドレミの歌』くらいは知っていても、見た事無い方が多いのではないでしょうか。
冒頭、風の音しか聞こえない圧巻のアルプスの空撮から、丘の上に立つアンドリュースにカメラがグングン寄って行きクローズアップになり主題歌が始まるのですが、こんな始まり方って1965年の公開当時も今も新鮮なんじゃないかなあ。
それにしてもアンドリュースの歌声の素晴らしさには感動します。
窮屈な修道院から抜け出して、美しい自然の中思うまま自由に歌える喜びに満ちあふれていて、ただその歌声だけで圧倒されますね。
心のままに歌うって素晴らしい!と思ってしまいます。
それに、ナチスドイツがオーストリアを併合しようとしているストーリーの時代背景、公開当時の米ソ冷戦を考えると、ナチズムや国家主義、共産主義に対するアメリカが唱える自由の素晴らしさを歌い上げるかの様にも聞こえます。
実話を基にしたこの映画を、こんなに素晴らしく家族全員大人から子供まで楽しめる作品に仕上げたというのが本当に凄い事だなあと思います。
脚本、セット、撮影、編集、衣装、音楽、振り付け、そして子役から老修道女まで演技のみならず歌って踊れる役者、すべてが高いレベルで揃っての総合芸術ですねえ。
こんな映画は当時のアメリカにしか作れなかったろうと率直に感心します。
私の好きなシーンは、軍隊式に厳しく子供達を育てて来た父親の海軍大佐がウィーンから婚約者の男爵夫人を連れて帰って来た時、子供達の歌声に心を動かされてつい一緒に歌ってしまうシーン。
そして、もう一つ。
ナチスドイツから招集命令が来て愛する祖国を捨てて国外脱出しようとする時、ザルツブルグ音楽祭で満員の聴衆に『エーデルワイス』を歌うシーン。
『祖国よ永遠に〜』と歌いながらその祖国から逃れようとする我が身。
ナチスドイツに翻弄される祖国の行く末を案じ、声がつまります。
妻がすかさず助けに入り、聴衆も共にオーストリア国歌ならぬ『エーデルワイス』を大合唱するのです。
歌声による反ナチスのシュプレヒコールですね。
音楽がかたくなな人の心を融かし、動かす。
音楽に込められた気持ちが皆の心を一つにする。
そんなテーマに弱い私は、このシーンに来ると何度見ても涙腺がしまらなくなるのです。
まだ見た事無い方は是非ご鑑賞あれ。
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