2010年12月5日日曜日

匂いフェチ 2

 ある特定の匂いで性的な快感を得られるのを『匂いフェチ』というんでしょうが、そこまでいかなくても『安らぎを感じる匂い』って記憶由来、意識、無意識に関わらずあるんでしょうね。

 嗅覚は動物である人間本来の生存本能に関わる能力ですよね。
餌のありか、危険な敵の気配を遠くから察知したり、腐敗した食物を避けたり。
暗闇で自分のねぐらに戻ったりする時にも嗅覚を使ったでしょうし、モチロン生殖相手の判別にも。

 農耕民にしろ狩猟民にしろ、人間が集団で生活するようになると、離れた所に暮らす違う集団の人間とは食べてる物も違うだろうから、発する匂いも違うのかもしれません。
確か極北に暮らすイヌイットの挨拶は相手と鼻をこすりあう、というものだったと思うけど、あれは見知らぬ相手が既知の安全な部族か、または個人を匂いで確認したんじゃないかなあ。
 それにしても、見渡す限り雪と氷の世界では人間や動物は独特で強烈な匂いの発生源なんでしょうね。
嗅覚が研ぎすまされた現地の人なら、風向きに依ってはかなり遠くから判別出来るんじゃないでしょうか。
視覚より匂いで相手を覚えておくと、遠くから誰が居るか分かるとか。

 今、人間は生命維持にさほど嗅覚を必要としなくなって退化したかに見えますが、気がつかないけど実はその行動を左右してるのかもしれません。
よそのお宅にお邪魔すると、玄関でその家特有の匂いに気がつきますよね。
これも、普段住んでいると全く意識してないはずです。
よく自分のマクラでないと寝られない人がいますが、あれも嗅覚に由来してるんじゃないでしょうか。
自分の体臭がしみ込んだマクラは、自分が安心して寝られるテリトリーを想起するんでしょうね。
汗や体臭や排泄物の混じった匂いが、クサイけどなんだかホッとする場合があるのもそれと関係があるのでしょうね。
旅から帰って自分の家に入るとホッとするのも、実はその匂いが原因かも。


 ア!本屋に居るとトイレに行きたく成るってのも、紙とインクの匂いが原因かも。
デモ、なぜか図書館ではならないなあ〜。
昔のレコード屋さんでも同じ現象が生じたけど、あれは何故なんでしょうかね。

 そう言えば先日TVで話してましたが、女性が嫌いに成ったオトコに『近寄らないで!』というのはその匂いが原因、だそうです。
女性は遺伝子が優秀なオトコの着たTャツをその匂いで判別出来る、なんて実験結果もあるようですよ〜。
モテるオトコは、どうやら匂いからして女性を引きつける様です。

 翻って、オトコは視覚に頼る方が多くてあんまり女性を匂いで判別してない様に思うんですが、やはり多数のメスを相手に自分の遺伝子をバラまく『数撃ちゃ当たる』式のオスの生殖行動と違って、生殖の機会がすくなく自分の遺伝子を残すのに多大な労力が必要な女性は、見た目だけではなく持てる能力の全てを使って相手を判別しているということでしょうね。
 
 そう考えると、実は現代でも匂いは意外と第一印象をも左右するのかもしれませんね。
 衣服に香を薫きしめた平安貴族、西洋で香水文化が発展したのも何となくうなずけます。
当時は今みたいな入浴の習慣が無かったでしょうから、個々人の体臭ってもっと強かったでしょうしね。

ワタシも、そろそろ『加齢臭』を気にしなくてはいけない年齢になってきたので、若い生徒さんに不快な思いをさせない様に気をつけなきゃ、と思う今日この頃です。 
 

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