2010年6月11日金曜日

D-Day 斯くも虚しき浪費!

そう言えば6/6はノルマンディー上陸作戦が決行された日でした。
第二次大戦時ヨーロッパを制圧したナチスドイツに対して、米英等の連合軍が反攻を始める第一歩となった史上まれに見る大規模な侵攻上陸作戦です。
英国南部ドーバー海峡をわたりフランス北部のノルマンディー地方の海岸に連合軍は奇襲上陸作戦を敢行したのです。
『史上最大の作戦 The Longest Dayとして映画化もされましたね。
子供の頃この映画をテレビで観てその作戦の大規模かつ周到な準備と、それをなしえたアメリカの国力に驚くばかりでした。1944年当時、すでに日本には物資も無く敗戦に向かっていたのですから。
今回は、98年製作の映画
youtube で見てみました。

 公開当時かなり話題になったしTVでも放映されたのでご覧に成った方も多いと思います。
戦場シーンでの手持ちカメラの多用、わざと粒子の荒い映像などが話題になってその後の戦争映画作りにかなりの影響を与えた記念すべき作品と言えるのでしょうね。
公開された時ワタシは観に行かなかったのですが、アメリカ映画の様にお金をかけ放題にかけて作った映画に対する反感がまずありました。
戦争の悲惨さと言うのが、あんなに特殊効果や特殊メイクでリアルに再現しないとアメリカ人には作れないの?伝わらないの?というものでした。


 今回小さなパソコンのスクリーンを通してこの作品を見て、ちょっと考え方が変わったのは事実です。
戦場には音や振動だけでなく匂いもあるので完全に再現する事は不可能なのは仕方ないけど、最近の映画館の優れた音響システムならかなり実際に近づくんじゃないか・・・と思いました。
 だから、以下の映像は気の弱い人は見ない方が良いですね。


それにしても、上陸のシーンを見ていて感じるのはその圧倒的な物量、それを支えたアメリカの国力ではなく、
『なんて無駄な!なんて無慈悲な!なんて無益な!』です。
あまりにもあっけなく失われて行く命、命、命
若い兵士達それぞれの二十数年の人生が本当に無造作に絶たれて行くのを見ると、敵に対する怒りよりも虚無感が湧いて来ます。
生産でなく破壊と殺戮のためだけに人の命が粗末に失われて行く。
それこそが戦争の本質なんでしょう。
この映画はこのオマハビーチのシーンにこそ価値があると思いました。
お金と時間をかけてリアルさを追求しただけの事は在った訳です。


それにしても海岸の陣地からバリバリ機関銃撃って来る中、身を隠す遮蔽物も無い海岸に重装備で足下の悪い砂浜に放り出される。
考えただけでイヤです!
それ以上に、そんな兵士達がどうなるか解っていて作戦実行の命令を出す、と言うのはどんな気分なんだろう。
勲章なんか貰っても到底癒えない心のキズになりそうです。
その罪悪感が、たった一人の兵士を救出すると言う命令に繋がって行くのでしょうが。

 確かにヒットラーのナチスがヨーロッパを手中に納めたら、もっととんでもないことになっていたでしょうから、この作戦は必要だったとは思うのですが、実際に作戦を立案した人達はこのような兵士の死を
『人的消耗』
という数字でしか考えないのでしょうねえ。
もちろん兵士一人一人の命の重さを考えてしまっては、作戦なんて立てられたものではないのでしょう。

 かつて武士には刀を抜かない様に身を処す事が求められた様に、戦わないこと、戦わないで済む様にする事が、政治家や軍人にとって最良の作戦で最大の命題であることは今も変わらない筈です。
沖縄の海兵隊をどうするか、というのも大事な論議だけど、まずは彼らが出動しなくて済むようにしてもらいたいものです。
極東の緊張が高まってる今、この映画のオマハビーチのシーンだけでも良いから権力者に観てもらいたいですね。


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